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ΔΣ SSTC(750kHz)の製作(失敗)

(2017年の12月上旬から2018年の4月下旬までのまとめです)

<はじめに>

こんにちは!記事を書くと言って存在すら忘れていたネトラトです~

今体調が悪くてなにもできないので以前製作したΔΣ SSTCの製作について書いてみようと思います。

(今回の回路設計ではツイッターのとあるフォロワーさんが教えてくれたことがとても参考になりました。とても楽しかったです。ありがとうございました!)

まず、ΔΣ DRSSTCは既出でして、アメリカのガチ勢のsteve氏が2011年に作っています。⬇

http://4hv.org/e107_plugins/forum/forum_viewtopic.php?128784.post

これは出力電圧の調整に一次共振回路の過渡応答を利用する方法なので、QCW動作を簡単に実現できます。制御回路は複雑になりますが、パワー素子が増えないので小さくなります。

ここに理解するためのヒントを貼っておくので、興味のある人は読んでみてください。

これが原理です(波形がエレファントノーズフィシュにしか見えない)。この動作が確保できたら勝ちってことですね

<中身>

で、今回はDRSSTCではなくSSTCで実現しようとしました(共振変圧器は共振を利用していますから、二次コイルにも前述のような緩やかな過渡特性が出ます)。一次コイルの電流を操作して間接的に二次コイルの電流を操作するのではなく、二次コイルの電流を直接操作したかったからです。

そうすれば前者よりは応答が良く、波形の再現性が高いのではないかと。最終的にはオーディオ変調をしたかったです。

では、動作を実現していきます。

まず大幅な構成を書いてみます。

オーバーすぎて逆に分からないですね。でも、これを基に考えます。

制御回路、パワー回路は普通のSSTCの回路と同じです。なので飛ばします。

問題は量子化の部分です。クロックの切り替わりでオン/オフするためのものです。steve氏の論理回路は90度の位相シフトが必要で発振周波数の変化に弱いので、僕はまた別に新しく考えることにしました。それで出来たのがこれです。

2つのD-FFは保持する役と出力する役をそれぞれ分担しています。かなり小さな回路で、遅延は一つでいいし発振周波数に依存しないので定数の設定も楽ですね。

では、これを基に実際に組んだ回路を載せます(動作確認済み)

また、この回路はfc=750kHzのコイルに合わせて書きました。

(制御回路)⬇

(ゲートドライバー)⬇

(パワー回路)⬇

※ER504は4つずつです。なぜか省略しました(もはや見せる回路図じゃない)

パワー回路の電源はスライダックの出力を全波整流して合計8000μFのコンデンサーバンクで平滑したものを使いました(つまり絶縁されていない)

制御回路の電源はacアダプターで、降圧には三端子レギュやdc-dcモジュを使いました。特に神経質になる必要は無いと思います。

今回はコンデンサーの温度特性を考慮して選べました(ほめて)。初めてなのでOCGという単語さえ聞いたことなかったですがw

で、回路説明ですが、多すぎて全部は書きたくないです(別の記事に小分けして書くかも)。なので、今回は一部の大きな部分の説明だけします。

 今回はPLLにしました。その理由は2つあって、1つは位相シフトがかなり容易であること。二つ目に必ず起動することです。⬇

今回のSSTCは700k~800kHzとかなり高い周波数なため、素子の遅延が特に顕著に現れます。なので、位相補償をしないとハードスイッチングしてしまいます。今回はPLLを使って位相補償をしました。

また、起動時の1クロック目によって二次側に誘導される電流は(結合が小さいので)非常に小さいです。なので、条件によってはFBが掛からずに発振が始まらない事があるようです(しかも動作中に発振停止する可能性も大)。そこで、FBが無くても共振周波数に近い周波数で発振するPLLを使いました。また別の方法もあるんですが、PLLは前述の位相補償の機能もあるので今回はそうしました。

 二次コイルの電流を測る手段にツェナーダイオードを使いました。今回は位相の情報だけでなく値も必要なので、抵抗も使いました。ある方向の電流は1S4で垂れ流してるので半波整流になります。

この方法はCT検出より楽だと思い、今回初めてやってみました。⬇

利点として、部品点数が少ない割に位相ずれやその変動が少ないことです。単純(ツェナークランプ)なCT検出だと電流の大きさによって位相ずれの度合いが変わります(前も書いた希ガス)。つまり二次コイルの電流が変わる動作ではFBが完全でないということです。(どうやらCTをバーチャルショートさせる方法があるようですが、今回は面倒なのでやめました(いつか使ってみます)。)

欠点はあまりよくわかりません。今回のように抵抗を使う場合は熱の問題があると思います。しかし、位相を検出するためだけなら割と大丈夫に思いました(drsstcならツェナーが飛びそう)

 ゲートドライブはちょっと面白い回路になりました。1度迷走はしたんですが、とあるフォロワーさんが教えてくれた回路が適していたのでそうしました。

条件は、"両アームオフにできる、両アームのduty比を50%以下にできる、誤点弧を防止する、ゲート電圧はを10v以上15v未満にする"というものがあります。この回路はオフ時にトランジスターでゲートをショートするので誤点弧を防止できます。また、ゲートドライバーに入る直前の信号のduty比を下げることでそれがそのまま反映されます(デッドタイムの生成)。ゲート波形やゲート抵抗の発熱やゲート電圧等の問題も前の回路とは違って解決されました(ゲート電圧は10vになりました)。⬇(実験時のゲート電圧の波形)

 

 パワー回路では、素子にirfp260を使いました。秋月で入荷とか神ですよね!嬉しすぎたので買いました。しかし、耐圧が低いという問題があります。つまりリンギングを少なくしないとなので、出来るだけそれを頑張ってみました。

リンギングが起きる原因は割と限られています(簡単とは言っていない)。それは、配線の寄生Lや、根本的な問題としてDuty比の不足等です。タイムラインでよく見かけるのはduty比の不足が大きいと思います。duty比はちゃんと作って損はないですし、素子はそう簡単には逝きません。

残念ながら配線の寄生Lは完全に対策しませんでした...銅板が良いみたいですが、分厚い銅板を切ったり折ったりするのが面倒で太い電線で繋ぐことしかやってません。10cm位あるのであまりよくないと思います。(波形を見るとリンギングはそこまで大きくありませんでした。あと、デッドタイムを短くするとリンギングが大きくなることを確認しました。ちなみに余分に長くすると変な波形になります。分かりやすいですね)

(電源のフィルターはよくわかりませんでした。一応電子レンジの中に入ってたのをつけましたが、発熱したこと以外書くことがないです。)

<結果>

 回路説明はここで終わりたいと思います。これから変調の動作の結果を書いていきます。

>まず、変調が出来るかを確かめるために変調信号を入れずに基板上のVRを回してみました。どうやら放電していない状態では綺麗に変調出来ているようです(オシロで確認)。

>次に、電源電圧を30v程度にして実験してみました。VRを出力が高まる方向に動かすと...最大出力で放電が始まりました。

>次に、電源電圧を40v程度で動かすと...先程と同様に最大出力で放電が始まりました。

これは不思議だと思いませんか?放電を開始する電圧が電源電圧によって違うんです。

しかし、そのヒントは波形が示していました。最大出力(常にオン)の時だけ二次コイル出力の振幅が荒れているんです。逆に、出力に制限を掛けているときは落ち着きのある一定の振幅でした。

ここから、落ち着きのある電圧より荒っぽい電圧の方が放電しやすい事が分かりました。バーストモードのインタラプタでバーストするのも納得ですね(理由がわからないけど)。(←蛍光灯の始動とかに使えないかな)

しかし、なぜ荒っぽくなったんでしょう...電源のリップルなら納得なんですが、周期的に全く別のもののようでした(PLL出力が揺らいでる?)。

>次に、(出力をVRで絞った状態で)接地したドライバーをトロイドに近づけて放電させてみました。結果、二次コイル出力が最大に飽和しました。

これはテスラコイルの特徴で、その昇圧の原理を考えればそれは当たり前のことでした。僕はこの結果を通して認識しましたが、テスラコイルは初期状態がただの疎結合な変圧器であることは常に覚えておくべきでした。(減衰曲線は負荷によって変化します)

>これらの実験を通して、"放電させてはいけないが、放電させなければ変調はできる"ということが分かったので、出力を絞ってオーディオ信号を入れてラジオで聴いてみました。近くで聴いた結果、かなり綺麗に再生されました。

成功ですね。(ラジオを遠ざけた所、隣の部屋まで届かなかったのですが、実際どのくらい害があるのでしょう?いろいろ怖いので最近は動かすのが嫌になりました。)

結果、これは失敗ですねw原理的な問題です。なのでこれはただのPLL SSTCですね。でも、750kHzまでいけます。発熱はかなり少ないですし、動作は実際にも波形的にも満足です。他にも多くのことが分かったし、僕はいい結果だと思っています。

<おまけ>

おまけに基板の設計図を載せます。と思ったんですが、色々変更を重ねたのでその設計図は今のものとは違いました。なので一部を隠して載せます(ゲートドライバーの部分とか参考になればと)

ICの型番書いてないから本当に参考程度にしかならないですね。あと、間違ってたらごめんなさい(保険かけとく)

あと全体の写真的なのを載せときます。この時はまだ実験段階だったので電源の線が細いですね。あと机が荒れてます。きっと地震のせいでしょう。

これはもはや本編みたいなんですが、失敗と分かった後、電流検出ではなく電圧検出にしてみよう!というのをやってみました。位相が90度ずれてるはずなので論理回路を考え直したんですが、新しく考えたものが割とよく似てて、あの基板を改造しただけで済んだのでとても楽(?)でした。救済ですね。⬇

結果、動作が非常によく似てました。その代わりアンテナを使うので動作がかなり不安定になりました。ダメダメですね(今考えたら割と当たり前)。

でもこれでも動きましたよ。考えたのが動いたときの喜びは他にはない特殊なものがあります。

最後にみんなの嫌いなサージの波形で終わりたいと思います。ここまで読んでくれてありがとうございました。ではまた。バイバイ

Twitter:@Netrale_jp

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